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電子書籍の個人出版ビジネスについて全体像を知っておこう

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前回は、電子書籍の出版の全工程を三つに分けて紹介しました。

あらためて紹介しますと、

 

1.まずコンセプトを決める(誰が喜ぶのか?貴方が与える価値とは何か?)

2.コンセプトに基づいて作業する(原稿の執筆・推敲・校正)

3.出版の手続きをする(電子ファイル化、表示の確認、原稿データの出稿)

 

の3工程です。

この中でも第1工程の「コンセプトを決める」作業でその後出版される作品のすべてが決まります。それほどコンセプトづくりは入念に取り組む必要があります。

多分、電子書籍は勿論、紙書籍を出版されたことのある方にとっては当然のこととお思いかと思います。また、ブログを作られたことのある方、運営されている方でも「なんか似てるな」と感じられる方も多いと思います。

電子書籍とブログとは非常に類似する点が多くあります。

そのためブログの過去記事で人気のあった記事を何本かピックアップし、リライトした原稿を電子書籍として出版されている方もいらっしゃいます。

この辺りはまた別の機会のテーマにするとして。

今回は初心者の方にはぜひ理解してほしい「電子書籍の出版ビジネス」について解説します。

 

=目次=

 

1.ビジネスの全体像を知っておきたい理由

電子書籍の出版ビジネスに限らず、どんなビジネスにおいてもそのビジネスの全体像を理解しておくことは絶対に欠かせません。

理由は大きく3つあります。

1-1.当事者の立ち位置がわかる

ビジネスをするのに、当事者である当人がその業界のどのあたりに位置するのかを理解しておくことは大変に重要です。

たとえば今回の電子書籍の出版ビジネスにおいてはさまざまな役割を持ったキャストが関わっています。

電子書籍の作者(あなた)

電子書籍の購入者(読者でありお客様)

電子書籍市場の提供者(ECサービス提供者、アマゾンや楽天など)

・執筆や推敲、校正を支援してくれるパートナー(外注の代行社)

・販売支援をしてくれるアフィリエイター

など、沢山のキャストが関わっています。

それらと当事者であるあなたのかかわりが見えてくると俄然作業は効率的で合理的になってきます。

あなたは、単なる執筆家ではなくビジネスマンでもあるのです。

その点、それぞれのキャストの役割がわかって、自分が抱えている作業を分散・依頼することによって、あなたは執筆に集中できるようになるのです。

1-2.読者と執筆者との関係性が見えてくる

あなたが執筆した本はEC市場に出展され、それを見た読者が購入することで印税が発生し、ECサービスサイトから印税収入があなたに支払われます。

その際、あなたは読者に直接営業行為はしません。

読者は、マーケットに列記された沢山の電子書籍から「タイトルが面白そう」「紹介文を読むと内容がためになりそう」「表紙が目立って気になる」といった情報をもとに購入する本を選定します。

電子書籍は購入前にはほとんど立ち読みすることができません。

全体の10%程度にあたる、書籍の冒頭が読める程度です。

全体像が読めません。

つまり、読者と執筆者が繋がれる場とは、

・本のタイトル/サブタイトル

・表紙

・商品n紹介文

・筆者のページ

であり、これらを上手に活用して数ある書籍に埋もれないようにしなければなりません(魂を込めていかないといけません)。

1-3.電子書籍(商品価値)と読者(顧客)との関係がわかる

読者(顧客)は、本のタイトル、表紙のデザインでその本が自分に価値のある本かどうかを即決してしまいます。

つまり「タイトル」+「表紙のデザイン」で勝負は決まるといっても過言では在りません。よっぽど著名な作家の作品でもなければ、ほぼ勝敗が決するでしょう。

それほど「タイトル」「表紙のデザイン」は重要なファクターです。

どんなに価値ある内容の原稿ができたとしても、読者にとっては購入してみないとわからないのです。

読者と商品との導線は『タイトルと表紙のデザイン』であると理解しておきましょう。 

 

2.複雑なビジネスの仕組みも、視覚化すればわかり易い

前回は、コンセプトづくりの難しさに触れました。

それは、

1.全体像がまだぼやけている段階で、具体化するまでに至らない

2.想像世界ではイメージが固まってきているがうまい言葉が見つからない

などの理由のため文章による企画書作りが進まないというものでした。

そこで対策案として

『言葉に囚われない企画立案をする』

という命題を掲げました。

そして出た結論が

『視覚化を利用する』

でした。

でも・・・ 

例えば『新商品のアイデアを考えてみよう』という命題が出たとします。

大勢集まってワイワイやるならブレーン・ストーミングが手っ取り早いでしょう。

電子書籍の出版ビジネスを視覚化できる、そんな手軽で手っ取り早いツールなんてあるのだろうか?

そこで閃いたのが『Business Model Canvas(以降ビジネスモデルキャンバスもしくはBMCと呼称)』を使うアイデアでした。

 

3.『ビジネスモデルキャンバス』を利用したモデリング

当初はどうなるかと自分自身懐疑的でしたが、実際に『ビジネスモデルキャンバス』を使ってみて、その懸念は一気に吹っ飛びました。

それほど『ビジネスモデルキャンバス』は利便性の高いツールだったのです。

ビジネスモデルには様々な形式・形態の表現方法があります。

幸か不幸か、今の自分の頭の中で最初に浮かんだのが『ビジネスモデルキャンバス』でした。『ビジネスモデルキャンバス』はもともと『Business Model Generation(ビジネスモデルジェネレーション)』という概念で利用するための具体的なフォーマットです。

これはIBM社をはじめとする多くの企業で利用されているビジネスモデルを策定するためのツール『Business Model Canvas(ビジネスモデルキャンバス)』を利用した斬新な考え方です。

これまで具体的に利用したことはありませんでしたが、一通り学んだつもりでいましたので、密かに勝算ありとふんではいました。

以下に実際のキャンバスを自作したものを紹介します。

 

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「なんじゃ?」

そう思われるに違いありません。でも、このフォーマットがめちゃくちゃイイんです。

簡単に略称を列記しておきます。

 

CS:カスタマー・セグメント(顧客のセグメント)

CH:カスタマー・チャンネル(流通チャンネル)

CR:カスタマー・リレーションシップ(顧客との信頼関係)

VP:バリュー・プロポジション(価値の提案)

KA:キー・アクティビティ(カギとなる行動)

KR:キー・リソース(カギとなるリソース)

KP:キー・パートナー(カギとなるパートナー)

CS:コスト・ストラクチャ(アクティビティ、リソース、パートナーを活用するための費用)

RS:リベニュー・ストリーム(収益の流れ)

 

顧客のセグメンテーション、顧客への価値提案のために自社がすべきこと、利用する市場や流通チャンネル、重要なツール、外注との関係、出費の管理、収益の流れ、などが手に取るように見えてきます。

 

そもそも論ですが、ビジネスモデルとは、

「誰に対して?」

「どのような価値を?」

「どのような方法で届けるか?」

「どのように対価を受け取るか?」

以上を理解しやすいようにモデル化したものです。

 

その点において『ビジネスモデルキャンバス』はそれらを明確に示してくれます。さらには、従来は商品を開発して販売する、その価値提供の対価を得ることで収益を得るという至極シンプルなことを、腑に落とす事が出来ます。

一般に、電子書籍の出版ビジネスは大手出版社のためのビジネスととらえられがちです。でも「Kindleダイレクト・パブリッシング」や「Koboライティングライフ」といった大手ECサービス企業による電子書籍の個人レベルでの出版サービスを利用することによる収益化は立派なビジネスです。

そう考えれば電子書籍個人出版についても『ビジネスモデルキャンバス』を使ってビジネスモデルが組めそうではないでしょうか?

本来は企業におけるビジネス策定のものですが、小規模ビジネスや個人事業といったビジネスについても『ビジネスモデルキャンバス』の利用によってモデリングは可能なはず。そんなわけで『電子書籍の出版』についても『ビジネスモデルキャンバス』が応用できるのではないかと直観しました。

 

そこで早速、実際に『ビジネスモデルキャンバス』を利用して、電子書籍の出版についてビジネスモデルを作ってみました。

以下が、実際に自分でイメージした電子書籍個人出版ビジネスモデル』です。

 

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CS:読者のセグメント(従来はペルソナで定義してきた)

CH:販売チャンネル(AmazonやRakutenなどのECサービスチャンネル)

CR:読者の信頼度(ECに対する信頼度、商品に対する信頼度、作者に対する信頼度)

VP:電子書籍(読者が求める情報を文章化して電子書籍にまとめたもの)

KA:作者の作業(企画立案、書籍化の設計図作成、執筆・推敲・校正、出稿)

KR:電子書籍の作成ツール、ECサービス(出版・出展、商品・収益管理等を含む)

KP:外注先(電子書籍の表紙作成、推敲・校正の代行など)、コンサルタント

CS:制作費用(コンサルタント費用、外注依頼費用、諸経費を含む)

RS:収益の流れ(著者が商品化→読者が購入→読者が支払い→著者が収益)

 

どうですか?

電子書籍の出版ビジネス全体を俯瞰できると思いませんか?

では電子書籍の出版ビジネスの流れにのって俯瞰してみましょう。

 

4.電子書籍出版ビジネスの仕組みを見てみよう

ここで作成した『ビジネスモデルキャンバス』の各ブロックについてみてみましょう。

今までは「電子書籍を提供すればいい」と思っていたのが「やるべきことは山ほどある」ということに気づいてもらえると思います。

 

「CS:読者(書籍購入者)」

まず最初に「CS:読者(書籍購入者)」についてみてみましょう。

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顧客は電子書籍のデータをスマートフォンタブレットで手軽に読書したり、パソコンを利用してじっくりと読書するなど、様々です。つまり、それぞれのライフスタイルに合わせた電子書籍を提供する必要がありそうです。

また、それぞれの電子書籍リーダーを利用する読者層は年齢・性別も異なりそうですね。それも念頭に置いておく必要がありそうです。

 

「VP:商品(電子書籍)」

「CS:読者(書籍購入者)」の想定を受けて次に検討すべきは「VP:商品(電子書籍)」の中身です。

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「誰に対して?」

「どのような価値を提供するのか?」

を考えると「CS:読者(書籍購入者)」の想定が非常に重要であることがわかります。なぜなら「VP:商品(電子書籍)」はそれによって大きく変わるからです。

ただ書きたいことを書いて出版すればいい・・・

わけではなかったのがわかっていただけると思います。

 

「KA:執筆活動」「KR:リソース」

さて『ビジネスモデルキャンバス』によって、「CS:読者(書籍購入者)」を想定し、そのための「VP:商品(電子書籍)」をどうすべきかが見えてきたと思います。

そこで次にやるべきは「KA:執筆活動」「KR:リソース」の検討です。

 

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具体的にはどのようなリソースを利用するか(ECサービスなどのインフラ、最新のツールなど)、そしてどのような内容の電子書籍を提供するべきかを創造できるでしょう。

 

「KP:外注・アウトソーシング」「CS:経費」

様々な要因はありますが全てのアクションを自分一人で抱え込むことはありません。

時と場合によってアウトソーシングを利用することも有効です。

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アウトソーシングや、有料サービスを利用すると費用が発生します。

費用は支出として管理されることになるでしょう。

もし書籍を個人が単独で行う場合「CS:経費」はほぼ0円。

「無料」という声が聞こえてきます。

初めて電子書籍を出版する人には、一通りの作業を経験するいい機会ですので、アウトソーシングよりも、まずは自力出版してみるのもよいのではないかと思います。

経験値が上がりますよ。

 

「CH:EC流通チャンネル」「CR:顧客との信頼関係」

「CH:EC流通チャンネル」はどこのECサービスを利用するかで決まってきます。

またECサービスで提供されている内容も異なります。

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一方「CR:顧客との信頼関係」は、2つのポイントがあります。

読者から見た信頼に足るべきポイントは、

1.信頼すべきECサービスであること。

2.信用できる商品(提供される価値の内容)であること。

この2点が大きいですね。

商品はよさそうでも、取り扱っている業者が怪しげでは後々トラブルになりかねません。また、商品価値が低かった、あるいは希望する内容に合致しなかった、といったことがあります。電子書籍は一般の紙書籍と異なり、立ち読みをする事が出来ません。ECサービスによっては、冒頭の一部を無料で読む事が出来たりしますが、肝心の部分は購入するまでわかりません(くじ引き見たいに、当たりはずれはあります)。

いろいろ考えると、読者としては最大手のAmazon楽天を利用することになるのでしょう。

 

「RS:印税収入の流れ」

印税率や収益発生後の支払い期日など「RS:印税収入の流れ」の詳細は、利用するECサービスによって異なります。

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とはいうものの、

「著作→販売・購入→納品(ダウンロード)・支払い→作家へ収益が発生」

の流れはほぼ同じです。

大手ECサービスを利用するメリットは「RS:印税収入の流れ」を管理するサービスも提供してもらえる点です。

何らかの大きなシステム障害でも起きない限り、安定した管理システムが無料で利用できることになります。個人が直接顧客に販売することを考えると非常に利便性の高いサービスです。

 

その他(間接サービスなど)

さてこれまで『ビジネスモデルキャンバス』を使って電子書籍の出版ビジネスについてモデリングしてきました。ここでもう一度全体像を見ておきます。

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具体的なブロックに表立ってでてきていませんが、もっと言えば、CH・CRの中には、SNSを使ったコニュニティーや、アフィリエイターによる販売支援なども含まれます。

 

このように『ビジネスモデルキャンバス』を使ってビジネスモデルを視覚化すると、今までは見えなかったものが手に取るように見えてきます。

 

 と同時に『出版者は「読者が欲しがるような価値ある情報を電子書籍として提供する」こと』は当然として、自己出版した商品に対しての販売支援等も自らが行うことになることを忘れてはいけません。

 

大手出版社はすべて分業になっていますので、企画担当や、販売活動をする営業マンもいるわけです。ですから作家さんは執筆に専念すればいいわけです。

 

一方電子書籍個人出版では、すべて自分持ちです。

従って『ビジネスモデルキャンバス』のような役割の可視化できたモデルがあれば、何をする必要がるのかが明確にわかってきます。 

本業は作家、でも時には営業活動もするし、経理業務も行う。

煩雑ではありますが、そこもまた個人出版の面白さでもあると思います。

 

全体像がみえたら、自分がどのような立ち位置にいるのかは明確になったと思います。

 

そこでここからは「CS(顧客セグメント)」と「VP(価値ある提案)」にフォーカスを絞り込んで、より具体的な価値提供が出来るための考察をしていきましょう。

 

そのために『ビジネスモデルキャンバス』とはまた違ったフォーマットを利用してより具体的な検討をしたいと思います。